以下、全訳です。
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Stability of Orthodontic Treatment Part 1(J. Clin. Orthod. 40:27-38, 2006)
EUGENE L. GOTTLIEB, DDS, Moderator / NAURO COZZANI, DMD, MSD / JULIA F. DE HARFIN, DDS, PHD / ROBERT D. HELMOLDT, DDS / LEE R. LOGAN, DDS, MS / DAVID W. WARREN, DDS
DR. GOTTLIEB
DR. WARREN
私が見てきた中で、最も頻繁に起こるのは、前歯の捻転です。
DR. COZZANI
私は、下顎切歯の叢生だと言いたい。
DR. LOGAN
主なものは、下顎前歯の捻転です。リストアップすると:
・下顎の前方成長
・上顎正中離開の再発
・前歯部垂直エラスティックスによって閉じられたオープンバイトの再発
・舌側にあった上顎側切歯
・外科処置で開窓され、矯正治療によって萠出された、舌側に埋伏した上顎犬歯のinfraversion
加えて、エラスティックスやハーブスト装置や機能的顎矯正装置で治療されたClass II症例、特に長頭型(dolichocephalic)の症例では、不安定な傾向があり、可徹式装置やアーチワイヤーやエラスティックスで治療された臼歯クロスバイトも不安定だ。全ての成人の下顎小臼歯の抜歯部では、コンタクトがなくなる傾向にあり、そして、小さな(small)上顎第二小臼歯に隣接する上顎第一小臼歯の抜歯部では、空隙が生じる傾向にある。
DR. HARFIN
我々は、三次元的な、すなわち、垂直的と矢状的と横断的な、骨格性と歯性の安定性を考慮する必要がある。それぞれの次元において、治療前の不正咬合の再発は、矯正治療の不安定性の兆候だ。
DR. HELMHOLDT
それは、元の不正咬合関係とimbricationsに戻っていくと言っても良いだろう。
DR. GOTTLIEB
どのような不正咬合が再発しやすいのですか?
DR. HELMHILDT
最も一般的に起こるリラプスは、捻転と正中離開です。
DR. COZZANI
恐らく、捻転が最も研究されており、維持するのが最も困難なようだ。過蓋咬合症例と開咬症例は、成長患者でも非成長患者でも、予測するのが難しい。機能的な要因もあるので、研究も容易でない。
DR. HARFIN
35年の私の経験から、垂直的な問題が最も再発しやすいと言えるだろう。オープンバイト症例は、たとえオーバーコレクションされたとしても、保定するのは困難です。その他のものは、オーバーコレクションと長期の固定式保定装置の使用によって、比較的容易にリラプスを防げる。
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DR. WARREN
オープンバイトが最も再発しやすいと、私も思う。
DR. LOGAN
過蓋咬合やオープンバイトや正中離開は、永久歯列期まで治療を延期すると再発しやすく、混合歯列期に治療すると再発しにくい。過蓋咬合は、Class II関係のリラプスを伴って再発することもある。上下の第一小臼歯の抜歯によって、前歯咬合がend-to-endになることもある。前歯の歯の大きさの不調和は、正中離開の再発の一般的な原因です。
DR. GOTTLIEB
どのようにしたら、そのような傾向を最小にできるのでしょうか?
DR. HELMHOLDT
私は、捻転を少しオーバーコレクションするようにし、可能な部位には、捻転や正中離開していた部分に固定式舌側リテーナーを付けます。また、乳犬歯の抜歯が考えうるなら、適切な時期に抜歯する。そうすれば、切歯は良い位置に萠出するし、この自然な萠出過程が、機械的なオーバーコレクションや保定なしに、歯を良い位置にずっと維持するのに役立つだろう。
DR. LOGAN
私も全ての捻転歯を僅かにオーバーコレクションしますが、そうなる前の早期治療や予防によって、捻転の再発を少なくできるだろう。私は、下顎切歯に舌側リテーナーを接着し、上顎捻転歯もそうする。より大きな捻転やスペースがあったなら、ワイヤーのボンディングが外れた時の保険として、Hawleyを夜に 使ってもらう。
舌側転位していた歯にラビアルルートトルクをかけておくべきだ。Class II症例では、上顎大臼歯から小臼歯に舌側エラスティックチェインで、その上顎大臼歯を回転させる。この大臼歯がうまく回転されなければ、Class IIにリラプスする傾向が大いにある。下顎のスピーカーブをレベリングする際の切歯圧下時には、インツルージョンアーチが装着できるようになるまで、犬歯にブラケットを付けない。そうすれば切歯がdumpingするのを防げる。
抜歯症例で前歯部叢生がある場合には、ワイヤーを全ての前歯に結紮する前に、スペースを確保しておく。もし最初から全ての前歯に結紮すると、歯は"round-tripped"し、前歯は審美的に問題のある位置に来るかもしれない。
DR. COZZANI
長期間の保定に関しては、正しい診断が重要です。歯槽骨稜より上の部分での歯根膜線維切断術(circumferential supercrestal fiberotomies)が、上顎切歯の捻転のリラプスを少し減少させることが報告されている。悪習癖は術後の不安定性をもたらす可能性があるので、治療可能であれば、習癖も考慮されるべきである。
DR. HARFIN
筋の平衡は、筋と歯の関係を一定に維持する上で、非常に重要だ。筋と歯の不均衡を引き起こしている習癖は、術後の安定性にとって有害であると考えられる。そのような習癖は矯正されねばならないばかりではなく、これらの習癖を引き起こし悪化させている真の原因をも突き止めねばならない。我々は、治療の初期に、既往歴として次のような習癖をチェックする:大きな扁桃や閉塞アデノイドや鼻閉塞のような気道の問題;舌位置の問題;口唇の習癖と口唇閉鎖不全;指吸啜癖や拇指吸啜癖。
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DR. WARREN
私の診療室では、オープンバイトを閉鎖し維持するために、タングスパー、舌突出治療(当診療室内での継続的な指導)、外科処置、アーチワイヤー、エラスティックス、保定などの異なる方法を使う。DR. Harfinが言ったように、このような症例で良好なオーバーバイト関係を維持するための成功の鍵は、オープンバイトを引き起こしていた習癖、そして、再び引き起こすかもしれない習癖を除去することだ。術後の不安定は、多くの習癖によって起こりうる。舌突出は、オープンバイトとスペースをもたらす。噛みしめや歯軋りは、オーバーバイトの増加させたり、個々の歯を移動させることもある。口唇を噛む癖は、上顎前歯を前方に広げたりすることもある。動的治療が終了すると、従来の習癖が戻ってくる傾向にある。嚥下中に舌を正しい位置にくるように患者に指示することも良いだろう。
過蓋咬合では、適切なinterincisal angleを得ることによって、十分なバイトオープニングを得るようにしている。これは、大臼歯のアップライティング、臼歯の挺出、必要な症例なら切歯の圧下によって、達成される。
正中離開は、治療の早期の段階で是正し、必要な症例なら空隙閉鎖後に小帯切除し、そして、接着性の口蓋ワイヤーで最低1年の間、閉鎖された上顎中切歯を維持する。
捻転歯は、治療の早期の段階で捻転を治し又はオーバーコレクションし、治療終了までに前歯に適正なトルクを付与する。
DR. HELMHOLDT
ほとんどの習癖は、適切な修正が達成されるまでになくなる。新しくもたらされた口腔環境がバランスのとれたものならば、舌や口唇は、反射的に作用して、順応するだろう。慈しみと教育によって、有害な口腔外の習癖も、また、なくなるだろう。
DR. GOTTLIEB
悪習癖がなくなる前に治療を開始するのは、どのような場合ですか?
DR. COZZANI
悪習癖が残っていたり、悪習癖が再発したら、治療後の不安定が起こりうることを、患者とその両親が理解したときに、治療を開始する。私は、その症例が安定性に問題があることを彼らに理解してもらい、それが記載された文書にサインしてもらいたい。
DR. HARFIN
審美的な問題と機能的な問題が非常に緊急性の高いものであれば、たとえ成長期の患者でも、私は治療を開始する。治療が既に開始されて不正咬合が治されつつあるならば、いくつかの習癖は容易に除去できうることを、何年にわたって、私は観察してきた。これは、患者の動機付けにも関係するだろう。
DR. HELMHOLDT
正常な成長や発達が阻害されていたり、不正咬合が不当に強調されているような、耐え難い緊急の理由があるならば、私は治療を開始したい。
DR. LOGAN
口蓋の狭窄のある多くの症例において、舌突出せずに舌を適正な位置に持ってくるのは困難です。これらの症例では、通常、Hyraxによる口蓋拡大が適用となる。後で、下顎のリンガルアーチの前歯部の舌スパーが、嚥下時に舌が口蓋に来るように訓練するために、使用されることもある。この方法は、小臼歯の萠出前に開始すれば、効果的であり安定している。重度のClass II症例では、一般的に口唇癖があり、その癖が止まる前に前突は治されねばならない。
DR. WARREN
私は、通常、矯正治療と悪習癖除去を同時に始める。拇指吸啜癖を除去するために、下顎切歯のバンドにスパーをつける。オーバージェットを減少させながらオーバーバイトを改善しようと努力している時に、拇指吸啜癖を放置しておくことは、逆効果となる。
30ページ
DR. GOTTLIEB
DR. COZZANI
いいえ。
DR. HELMHOLDT
同感です。
DR. WARREN
早期に治療して、より安定するのは、捻転歯についてだ。成長期に治療されたClass IIは、安定している。早期に治療されたClass III不正咬合は、問題になることもある。
DTR. HARFIN
早期治療によって、全ての矯正の問題が解決されるとは限らないし、悪い骨格性の成長パターンを完全に抑制でないだろう。しかしながら、早い時期に問題を同定することによって、骨格成長の方向を変えれたり、咬合関係を改善できたり、患者の審美性とイメージを良くできたりする。そして、恐らくより重要なことであろうが、永久歯の萠出後と成長終了後では得られない治療結果を得る可能性がある。もし成長を利用できれば、その症例はもっと安定するだろう。その鍵は、問題を遮り、その治療段階での目的を正確に知って、正しい時期に矯正治療を行うことだ。
DR. LOGAN
下顎前歯の唇側軟組織の喪失は、乳犬歯の早期抜歯and/or前歯クロスバイトの矯正で防げる可能性がある。乳歯を選択的に早期抜歯することによって、切歯と犬歯の捻転が少なくなり、犬歯の異所萠出が少なくなりうる。第二小臼歯の歯胚摘出によって、全顔面高が減少し、下顎がカウンタークロックワイズに回転することもある。Eスペースの維持や1, 2本の第二乳臼歯の早期抜歯によって、第一小臼歯が遠心に萠出し、前歯の捻転が起こるのを予防しうる。支持組織は、完全に萠出した歯の位置にすぐに適応する。歯が好ましくない位置にある期間が短ければ短いほど、または、歯が不正な位置にあったことがなければ、保定の問題はより少なくなる。それ故に、早期に治療開始した症例の方が、より安定していると、私は考えている。
DR. GOTTLIEB
機能的顎装置で早期治療されたClass II症例は、より安定していますか?
DR. COZZANI
いいえ。
DR. WARREN
期待できないだろう。
DR. HELMHOLDT
私はほとんど全く機能的顎矯正装置を使用しない。なぜならば、治療結果が患者の協力に大きく依存するからだ。
DR. LOGAN
機能的顎矯正装置によるClass II治療の安定性は、私の経験では、あまり好ましいものではなかった。Class IIの矯正は、デンタルコンペンセイションand/or下顎頭の前方偏位によってもたらされた。このようなデンタルコンペンセイションと下顎頭偏位は、経時的にリラプスする傾向にある。真の顎整形的な変化は、顎外装置による方が良く、機能的顎矯正装置で治療されたClass II症例よりもリラプスの危険性は少ない。上顎小臼歯の抜歯、特に第二小臼歯抜歯(second bicuspids)は、上顎切歯の突出のある思春期と成人のClass II症例を治すのに、非常に安定した手段だ。
DR. HARFIN
機能的顎矯正装置による早期治療の安定性は、患者の成長パターンによるし、術者がそれを利用できるかどうかにもよる。我々が治療した症例では、不安定になりやすいのは、顎整形的な反応が弱く、デンタルコンペンセイションが大きい症例だった。
成長と発達は、臨床的診断と治療計画の基盤から成る。二つの大きな流れは、成長予測と機能的顎矯正装置によって成長を刺激することだった。矯正治療結果や、顎外科と矯正治療の併用の治療結果は、同様に、成長と発達とリンクされる。
31ページ
DR. GOTTLIEB
Class II, division 2症例は、division 1症例よりも安定していますか?
DR. COZZANI
私は、そう思わない。
DR. HELMHOLDT
私も、そう思わない。両者とも同じ治療であり同じ保定であるが、明らかに、僅かに異なるアプローチである。
DR. LOGAN
より好ましい成長パターンand/or下顎の後方位があるがゆえに、division 2の方がより安定していると言える。また、治療前に上顎側切歯が舌側よりも唇側にあった時には、リラプスも少ない。
DR. WARREN
Class II症例は、叢生という点ではより安定しており、オーバーバイトという点ではより安定していない。通常、強力な咬筋をもつローアングル症例では、保定中にオーバーバイトが増加する傾向にある。
DR. HARFIN
普通は、ローアングルの患者の方が、ハイアングル症例よりも安定している。上顎小臼歯が抜歯されたClass II, division 1症例は、より安定しているようだ。
DR. GOTTLIEB
Class II, division 2症例で、抜歯と非抜歯では、どちらが安定していますか?
DR. COZZANI
私は違いがあるとは思いませんが、垂直的なパターンを考えれば、division 2のほとんどは非抜歯で治療すべきだろ。
DR. WARREN
真性のClass II, division 2患者は、ディープオーバーバイトと、フラットな側貌と、小さな下顎角をもっている。通常、そのような患者には、抜歯は禁忌だ。しかしながら、もし下顎の叢生が中程度か重度なら、抜歯によって安定性は増加するだろう。
DR. LOGAN
もし成長を加減してClass IIが治らないような症例では、上顎第二小臼歯を抜歯すると安定するだろうし、サブディビジョンで一本の第二小臼歯抜歯が安定するだろう。division 2症例で第一小臼歯抜歯すると、保定中に抜歯空隙が開いてくる傾向にある。
DR. HELMHOLDT
抜歯非抜歯は、治療終了のための手段であり、適切な正しい診断に基づいて、短期間に最良で最も安定した結果を得るために、ある方法または他の方法を採用する責任が矯正医にはある。
DR. HARFIN
私の考えでは、成人患者と成長期の患者とを区別しなければならない。若年患者では、ある一定の範囲内で成長の方向を制御できるが、成人では、歯と歯槽性の問題を治せるにすぎない。Class II症例が成長期に治療されたなら、もっと安定している。適切な矯正メカニックスを使えば、ほとんどの患者は、小臼歯抜歯または非抜歯で満足いくように治療できる。
GOTTLIEB
DR. HELMHOLDT
いいえ。
DR. COZZANI
たぶんイエスだろうが、私の知る限りでは、はっきりとした証拠はない。
DR. HARRFIN
どの症例も、治療後に変化し続ける。術後の歯の位置の変化をともなって、正常な成熟過程での変化が、成人患者の長期の安定性に影響を与える。成人患者では、補綴処置や歯周病が常に問題となる。ですから、より安定しているとは、考えられない。他方、治療の安定性に影響しうる成長要因がない。
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DR. LOGAN
一般的に、成人患者は、はるかに安定しない。捻転や正中離開やClass II or Class III関係や上顎狭窄は、外科処置なしでは極めて安定していない。たとえ外科手術をしても、リラプスがありうる。第一小臼歯抜歯の成人症例では、上顎でも下顎でも少しの空隙が生じるだろう。上顎第一小臼歯抜歯症例に比べ、上顎第二小臼歯抜歯症例の方が空隙が生じにくい。なぜならば第一小臼歯のほうが大きいからだ。
DR. WARREN
成人患者は安定しにくいので、私は、永久保定を勧める。私が最も目にするリラプスは、ワイヤーを接着していなければ、抜歯部または抜歯部の隣にできる空隙です。
GOTTLIEB
男女とも、成長スパートを利用する治療の開始のタイミングは、術後の安定性にどのように影響しますか。
DR. COZZANI
これまでのところ、長期間に観察した研究の大多数では、早期治療かそうでないかで、そして、男か女で、前後関係の安定性と叢生の安定性に有意差がなかった。最近、the University of Michigan and the University of Florenceは、頸髄の成熟に関する新しく興味ある理論を発表している(1-3)。長期間の安定性は、この理論で考察できるかもしれない。
DR. HARRFIN
成長スパートは、少年よりも少女のほうが早期にあることは、よく知られている。もし成長途中で治療して成長を利用しようとするなら、男女とも、成長スパート前に行わねばならない。そうするには、確実な骨格の診断が必要だ。
DR. HELMHOLDT
いつ治療すべきかは、どのように治療すべきかと同様に重要だ。私は、混合歯列期後期で最初の成長スパートの頃に治療開始することが多い。というのは、治療過程において最もドラマティックな変化は、おそらく成長からくるものであって、歯の移動から来るものではない。
DR. LOGAN
これはClass II症例にも当てはまると、私は思っている。治すのが早ければ早いほど、結果はより安定している。組織のリバウンドは年齢を経るほど大きいようだ。口唇癖の早期の除去は、安定性を増す。
DR. WARREN
成長スパートを利用すれば、治療結果の質を良くするし、小臼歯の抜歯なしで治療できうる。抜歯なしで均衡の取れた顔面容貌を得ることができたなら、その結果はより安定しているだろう。
DR. GOTTLIEB
小臼歯抜歯から非抜歯拡大へのトレンドを、我々は見てきた。このような治療は、Class I叢生症例では、安定した結果をもたらしますか?
DR. COZZANI
長期観察の研究では、非抜歯症例において叢生が再発しやすいことが示されている(4, 5)。
DR. HARFIN
非抜歯で治療されたClass I症例の幾つかは、詳細な診断と長期間の固定式リテーナーの装着により、うまく安定している。そうでない症例では、歯の隣接面でのエナメル質削除が必要となる。我々の主な関心事は、顔面の審美性であり、それ故に、患者の顔貌に基づいて治療目標を立てる。もちろん、上下顎前突を悪化させる可能性や、歯周組織が弱いために起こる下顎前歯部の唇側スペース(lower anterior vestibulation in cases of weak mucopeiosteal tissue)と同様に、叢生の量は重要な要素です。患者の年齢、性別、顔面、歯周組織のタイプも、また、重要だ。しかしながら、叢生が4-5mmの患者では(口腔内衛生状態が良好な場合)、歯の隣接面のエナメル質削除も考慮されねばならない。
33ページ
DR. HELMHOLDT
トレンドに影響されすぎない。すなわち、治療期間が最も短くなるように、患者が最も利益を得られる治療方法に基づいて、私は抜歯と非抜歯を決める。そうすれば、最終結果の安定性も良くなるだろう。最も信頼しうる証拠によれば、mild expansion以外の何ものもリラプスしやすい。
DR. LOGAN
拡大しすぎたClass I症例は、より安定しない。歯は何ヶ月、何年にもわたって叢生だったのであり、安定しない位置に移動された歯は、それ自体がアップライトしようとするだろう。これが、我々が呼んでいるところの"rotation memory"だ。
DR. WARREN
適切な条件下での固定式口蓋拡大装置によらない、通常の歯列拡大は安定しにくい。
DR. GOTTLIEB
最終的なアーチフォームは、治療前のものよりも大きくできますか?できるなら、そのくらい?
DR. LOGAN
小臼歯and/or第一大臼歯のコラプスがあるために拡大されたアーチフォームは、うまく拡大でき、良好なアーチフォームが得られる。舌側に傾斜した下顎と上顎の切歯は、拡大しうる。小臼歯抜歯症例でなければ、下顎犬歯部の拡大は、通常、安定しないだろう。しかしながら、舌側にあった下顎犬歯のアップライトは、安定しうる。
DR. HARFIN
クロスバイトを治す場合、歯のアップライティングだけで歯列長が大きくなることも時々ある。拡大が顎整形的なものなら、言い換えれば、DR. WARRENが述べたように、急速上顎拡大されたなら、歯列長を大きくするための歯槽性の変化だけよりも、より安定していると、私は考えている。
DR. WARREN
私は、下顎アーチフォームはそのまま維持すようにしている。ただし、アーチフォームがコラプスしているとか、歯が舌側に傾斜しているだけとかの場合を除いてである。このような症例では、アーチフォームを変えたり、歯をアップライトする。
DR. COZZANI
下顎歯列は、元の形態に留まる傾向にある。長期観察の研究では、アーチフォームが変えた患者で、よりアーチフォームのリラプスが起こった(6, 7)。
DR. HELMHOLDT
永久的な拡大量として3-4mm以上、下顎歯列弓を拡大できるとの、実質的な研究はない。
DR. GOTTLIEB
経験的に、非抜歯で治療されるボーダーラインの抜歯症例は、どのくらい安定していますか?
DR. WARREN
ボーダーラインの抜歯症例は、非抜歯で治療できるし、安定していることもある。Dr. Norm Cetlinによって採用されたテクニックやair-rotor recountouringにより、これが可能となる。
DR. COZZANI
先ほど私が述べたように、長期観察の研究では、非抜歯で治療された患者で叢生が起こりやすいことが示されている。それ故に、安定は、永久保定でのみ保証される。
DR. LOGAN
これらの症例で、切歯の隣接面削除と固定式保定装置を使えば、非常に安定していることは、私も認めます。実際に、抜歯症例も非抜歯症例も、適切な歯の隣接面削除を行うことによって、より安定する。私は、GAC Intensive Ortho Strip Systemを感謝して使っている。これによって、ダイヤモンドディスクと比較して、かなり早期の段階から捻転歯の隣接面削除でき、"round tripping"を最小にできる。
DR. HARFIN
私の経験では、非抜歯で治療されたボーダーライン症例は、骨格性の変化が得られたときに安定している。この骨格性の変化とは、下顎の顎整形的な拡大、または、大臼歯の遠心移動です。これが不可能な場合には、歯槽性の変化を起こすのであるが、これを維持するには固定式保定装置が必要となる。もちろん、習癖は除去されねばならない。再度、言いますが、患者の側貌に基づいた診断が大切なことを強調したい。
DR. HELMHOLDT
支持組織と周囲組織が、非抜歯治療による変化に適応できた場合には、うまくいくだろう。問題なのは、治療前に、そのことがわからないことだ。
34ページ
DR. GOTTLIEB
DR. LOGAN
最も捻転している切歯が通常は抜歯されることを考えれば、非常に安定している。遺伝的に1本の切歯が欠損している子供では、残りの切歯がほとんど捻転せずに萠出し、将来的にも安定している。
DR. COZZANI
私は、1本の下顎切歯抜歯して治療した症例を十分に持っているとは言えないが、私の症例では非常に安定している。更に、長期観察の研究では、このような症例が最も安定していた(8)。
DR. HARFIN
Riedel(8)とLittle(9)によれば、1本の下顎切歯抜歯が、最良の長期にわたる結果を維持していたものの1つだった。もちろん、正確な診断と治療計画が必須である。理想的な症例は、犬歯関係と大臼歯関係がClass Iで、5-6mmの叢生がある成人だ。別の好ましい状況は、Faerovig and Zachrisson(10)が言うように、Class III傾向があり、軽度から中等度のオープンバイトがある患者だ。真の疑問は、2本の小臼歯抜歯のかわりに一本の下顎切歯の抜歯を、いつの時点で、なぜ決定するかである。重度の叢生のある歯周病患者では1本の下顎切歯の抜歯が推薦されることもあるが、付着歯肉が減退している唇側にある切歯を抜歯しなければならない(11)。
DR. HELMHOLDT
これらの症例に、もし上下の前歯の大きさのディスクレパンシィがあり、下顎歯列弓の前歯部の幅径が小さくなっても許容範囲内のオーバージェットになるのであれば、非常に安定している。
DR. WARREN
下顎切歯抜歯症例の安定性のおける成功の鍵は、隣接歯の歯根の抜歯側にアップライティングすることだ。もちろん、良い接着ワイヤー、少なくとも抜歯部位において必要だ。
DR. GOTTLIEB
安定性に関して言えば、非抜歯のトレンドは遠ざかていると、信じますか?
DR. HELMHOLDT
はい、そう思います。特に、家族の希望を充たすために、センチメンタルまたは感情的なまたは他の主観的な理由のために、抜歯せずに歯を並べれるというヒーローでありたいと願う術者の自己宣伝のためにということであれば、そうです。しかし、前歯部の拡大は、元のアーチフォームにリラプスする可能性があ。いわわゆる"抜歯顔貌"は、無分別な非抜歯の"前突顔貌"よりも望ましくないこともない。更に、"nonextraction"という言葉は、全く誤解を招きやすく、なぜならば、これらの症例のメカニックスでは、第二大臼歯を埋伏させることもしばしばであり、第三大臼歯の埋伏ももっと起こりやすく、それらの抜歯が必要となることもしばしばだ。結局、抜歯症例なのだ。ただ、異なった時期に異なる歯を抜くに過ぎない。おそらく、外科的に抜歯することになる。
DR. LOGAN
私も同感です。下顎切歯や下顎犬歯の過度の拡大は、歯をアップライトさせ、保定中に叢生を生じさせる。これらの多くの症例で、歯がアップライトされなければ、患者に"too many teeth"があるように他人に思われる。
1959年にNorthowesternで矯正歯科のレジデンシィをスタートして以来、拡大して抜歯しないことから、第一小臼歯抜歯になって、それから非抜歯治療に戻っていくという矯正治療の一時的な流行を私は見てきた。理論的には、第一小臼歯抜歯がリラプスを予防するのにもっとも有効な手段だった。その当時、多くの矯正医達は、歯列長不足を考慮せずに、いかにアンカレッジロスを防ぐかによって、第一小臼歯抜歯症例を治療しようとしていた。後に、矯正医も一般市民も矯正治療によってもたらされる"dished-in" or "not enough teeth" lookに気づくようになって、長期の安定性は、非抜歯治療の安定性と匹敵するものと見なされた
私のキャリアにとって幸運だったのは、Ricketts, Nance, Steiner, and Tweedのような偉大な矯正医の症例を、保定中と保定後を通じて、見ることができたことだ。これらの症例の中で、Hayes Nanceの症例に最も感銘を受けた。彼は、多くの矯正医が非抜歯と考えるであろう症例を、第一小臼歯抜歯でマキシムアンカレッジと判断されるであろう症例を、第二小臼歯抜歯で治療していた。彼の治療例は、自然な歯ならびに見え、バランスのとれたスマイルであった。最終的に好ましい歯の大きさなので、すばらしいオーバーバイトとオーバージェットであり、審美的なbuccal corridorsで、正中離開はほとんどなく、抜歯部位にほとんど空隙が生じていなかった。Eスペースを維持するリンガルアーチを使った彼の症例は、永久歯列期になるまで待った矯正医の治療例よりも、治療後の叢生の問題は少なかった。
35ページ
DR. WARREN
患者は、時々、再治療に私の診療室を訪れる。非抜歯で治療された患者が多く、治す量が多く、通常、小臼歯抜歯が必要になる。一方、うまく治療された抜歯症例では、満足のいく状態にするのに、少し治せばよい。
DR. COZZANI
非抜歯のトレンドは、もう終わったと、私も感じている。非抜歯治療はより簡単で、矯正医と矯正をしている一般歯科医は、そのように治療しようとする傾向にある。更に、マネージメントの観点から、非抜歯は最も安易なセールスポイントとなる。
DR. HARFIN
私が思うに、このトレンドは、なくなりそうにないが、我々の思考パターンは、近年、変化してきている。側貌や歯周組織のような、診断時に考慮すべき要因は、違ってきている。たとえば、我々が50年前に見てきた側貌と比較して、このごろでは、少し前突した側貌が好まれるようだ。矯正医は、望ましくない側貌を強調するのを避けるために、2つの治療方法の違いに注意しなければならない。それ故に、本当の問題は、抜歯か非抜歯ではなく、顔面の審美性についての診断の問題だ。小臼歯抜歯や切歯抜歯が長期間の安定性を保証するものではないことを憶えておかねばならない。the University of Washingtonの多数の研究結果が、これを証明している(5)。
DR. GOTTLIEB
DR. HARFIN
安定を得るには、問題の形態学的機能的な側面を考慮に入れながら、全般的な取り組みが必要だ。私の経験では、拡大の効率性と長期的な安定性は、使用された拡大力の性質、歯周組織の状態、顔面骨格の成熟度に依存する。若年患者では、顔面の横断的な大きさ(the transverse dimension)は、特に、上顎において、最も容易に変化し、長期に安定しているように思われる。しかし、拡大は、頭蓋顔面複合体の縫合部における変化によって達成されるべきであって、歯槽性リモデリングと歯の傾斜によってなされるべきではない。だから、クロスバイトを治すためだけでなく歯列長を増加させ長期の安定を得るために、急速上顎拡大が好まれるのである。我々は、安定が維持されるというすばらしい効果を観察してきた。すなわち、下顎成長の方向を変えることによって起こる軽度から中等度のオープンバイトの閉鎖や、フェイスマスクを使用する前の若年Class III患者がその例である。
DR. WARREN
固定式口蓋拡大装置で行う上顎臼歯部の側方拡大は、非常に安定している。トランスバラタルワイヤーやQuad Helixによる上顎拡大も安定しているが、そんなにでもない。
DR. LOGAN
患者の年齢が高ければ高いほど、臼歯部の側方拡大は安定しにくい。急速口蓋拡大は、一般的に、安定している。外科的な拡大は、リンガルアーチで維持していなければ、安定していないこともある。
36ページ
DR. COZZANI
クロスバイト症例では、上顎アーチの拡大は極めて安定しているが、下顎でも同様な長期の安定が得られうることについては疑問である。
DR. HELMHOLDT
文献によれば、犬歯間距離と大臼歯間距離は、保定の問題を最小にするために、元の距離を維持すべきなようだ。加えて、大臼歯部の拡大によってアーチレングスは殆ど増加しない。犬歯部の拡大によってアーチレングスは増加するが、リスクがないこともない。
DR. GOTTLIEB
口唇頬のouter envelopeと舌の間には、a "quiet zone"がありますか?
DR. COZZANI
ありそうですが、これまでのところ、私の知る限り、外側からの力と内側からの力で中和される位置に歯が保たれるエリアがあるという報告した人は、いない。もし質問がthe "quiet zone"にあれば歯が安定しているという意味ならば、歯槽稜上線維(supracrestal fibers)、悪習癖、たぶん他の未知のもののような考慮すべきファクターがあると、私は考えている。
DR. HARFIN
機能的変化を起こす形態的変化のために、筋の不均衡があるならば、a "quiet zone"は存在しない。たとえば、上顎が狭窄している症例では、舌と頬の間の不均衡は重要で、上顎拡大によって機能面を直す必要がある。
HELMHOLDT
周囲の力でバランスを常に維持するために、調節している支持組織と筋の中にa "zone of balance"はある。
DR. GOTTLIEB
DR. HARFIN
McNamaraが言っているように、機能的治療のスタンダードは、フレンケル装置だ。この装置は、現在使われている他の装置よりも手がかかるが、口腔顔面筋に直接的な影響を与え、矢状的な歯槽性の変化を最小にして骨格の発達を最大にする環境を作り出す。頬を引き離しておくことによって、歯列の拡大が起こり、その結果、アーチレングスの増加する。
DR. COZZANI
うまく設計され作製されたフレンケル装置は、the muscular envelopeを歯から引き離してあく。事実、フレンケル装置で下顎犬歯間距離が増加したという報告がある。しかしながら、その装置を中止した時に、その後、長期にわたって何が起こるのかは、私は知らない。
DR. LOGAN
私はフレンケル装置を使わないので、私には答えられない。しかし、前歯部で十分なアーチレングスを得るのに、大臼歯の拡大によって十分なスペースを得られるのは稀だ。
DR. HELMHOLDT
私もフレンケル装置を使わないが、それが筋の変化をもたらすのなら、その変化はそのうち失われるかもしれない。なぜならば、筋生理学は、横紋筋は最終的には安静の状態に戻るだろう。歯はうごかせるが、筋はニュートラルゾーンを忘れない。
DR. GOTTLIEB
DR. HELMHOLDT
可能性としてはイエスです。なぜならば、歯と骨と筋の間の争いでは、通常、筋が勝つ。
DR. LOGAN
可能性はあるが、強い咀嚼筋が臼歯部をコラプスさせる得るという証拠に基ずいた研究を、私は知らない。
DR. COZZANI
よく発達した筋が伸張した位置に順応する可能性が少しある。それ故に、咬筋や内側翼突筋や側頭筋の長さに注意すべきだ。言い換えれば、これらの筋がよく発達した症例では、臼歯の過剰な挺出が治療後に不安定であるかもしれない。
p.37
DR. HARFIN
もし頬の筋が非常に強ければ、もし咬合が十分に安定していなければ、そして、もし舌機能のバランスがとれていなければ、それが臼歯のコラプスを起こすのかもしれない。だから、歯の位置だけではなく、神経筋パターンをも正常化させることが重要なのだ。
DR. WARREN
固定式口蓋拡大装置、或いは、外科処置、或いは、distraction osteogenesisによって拡大が行われたのでなければ、強い咀嚼筋が、拡大された歯列弓をコラプスさせるかもしれない。たとえ、このような方法で治療されたとしても、唇口蓋裂患者のような症例では、拡大された歯列幅を維持するのには、なお問題が残る。
DR. GOTTLIEB
DR. LOGAN
起こりうる。
DR. BARREN
しかし、歯列弓に適切に配列されていれば、そうでもない。
DR. HARFIN
口輪筋が弱いのが問題であるのと同様に、強すぎるのも問題であるように、口輪筋が非常に重要であることを、我々は観察している。口唇の筋が強い症例では、治療後に下顎切歯が前突しすぎていたり、または、デンタルディスクレパンシィがうまく処理されていなければ、不安定になるだろう。
DR. COZZANI
逸話的な口頭報告では、強い口輪筋が切歯に叢生を引き起こす可能性が、特に治療中に切歯が限度を超えて前方傾斜や移動させられた場合には、述べられている。残念なことに、私の知る限りでは、この限界や、歯に対する口輪筋活動を評価する方法を誰も知らない。
DR. HELMHOLDT
もし口輪筋の力が舌の相反的な力よりも大きければ、押して押されてがバランスのとれるまで、歯は動くだろう。このように、切歯の叢生は、通常、自然に起こる順応変化の副産物である。
DR. GOTTLIEB
リラプスを避けるために、下顎切歯を前方傾斜させたくないという角度はありますか?
DR. HELMHOLDT
IMPAに対して90度、切歯間角度130度に近くなるようにする。
DR. COZZANI
私は、数値数式で限界を正確に示せたらと思う。しかしながら、それは不可能だというだけで、下顎叢生を解決するために下顎切歯の過度の前方傾斜を提唱してはいない。大まかなルールとして、可能であれば、下顎切歯の位置を維持するように努力している。
DR. WARREN
私が受け入れることができ安定が得られそうな下顎切歯のアンギュレーションは、セファロ上の正常値と共に患者の治療前のアンギュレーションによる。たとえば、下顎切歯角が30度で叢生のない患者が治療にきたら、このアンギュレーションが維持されていれば又は僅かに小さくなっても、安定していると考えない理由がない。安定を得るためにセファロ正常値を考慮して、片目を閉じて抜歯すべきでないと、私は思う。一方、非抜歯で治療するために、セファロ正常値を超えて下顎切歯を前方移動させると、リラプスと歯肉退縮と骨欠損を引き起こすことになるだろう。
p.38
DR. HARFIN
すべてに当てはまる下顎切歯のアンギュレーションの量は、ない。顔面タイプや歯周タイプやオトガイの形や治療前の叢生の量なども考慮しなければならない。もちろん、切歯が前突すればするほど、不安定になりやすい。不安定と下顎切歯前突の関係は、口輪筋の強さによっても影響を受け、その強さは個々の患者によって異なる。
DR. LOGAN
それは、実に骨格顔面タイプと筋バランスに依存する。一般的に、ハイアングルケースでは、ローアングルケースよりも、リラプスをおこさずに下顎切歯のラビアルアンギュレーションを小さくできるだろう。
(TO BE CONTINUED)
83ページ
Stability of Orthodontic Treatment Part 1(J. Clin. Orthod. 40:83-94, 2006)
EUGENE L. GOTTLIEB, DDS, Moderator / NAURO COZZANI, DMD, MSD / JULIA F. DE HARFIN, DDS, PHD / ROBERT D. HELMOLDT, DDS / LEE R. LOGAN, DDS, MS / DAVID W. WARREN, DDS
DR. GOTTLIEB
閉口経路や咬合平面角や下顎平面角や切歯間角は、どの程度、安定性と関係しているんでしょうか?
DR. LOGAN
閉口時の切歯干渉による下顎後退は、下顎切歯に叢生を起こしやすいだろう。矯正治療によって起こった下顎大臼歯挺出による過大な咬合平面角は、特にハイアングルケースにおいて、Class II関係とオープンバイトを引き起こしやすいだろう。過剰に拡大されたことによって生じた大きなインサイザルアングルは、治療後に歯がアップライトし叢生が生じるに従って、減少するだろう。
DR. HARFIN
垂直方向の成長パターンのある症例で、アンカレッジロスによって、Class IIをClass Iにした場合には、咬合平面角は減少し、下顎平面角も減少し、オトガイは上前方に回転する。過蓋咬合症例では、咬合平面角が増加するにつれて、上顎切歯角は減少し、下顎切歯角は増加し、下顎切歯咬合平面に対してオトガイは下後方に回転し、そして、下顎平面角は増加する。
DR. HELMHOLDT
もし、これらの要因が正常で受け入れられる範囲を越えていれば、これらの要因は長期の安定に悪影響をもたらす。
DR. COZZANI
ある研究によれば、咬合平面角と下顎平面角を変化させると、それらは元の傾斜度に戻る傾向にある。しかしながら、これらの変化は、咬合の不安定性とは関係しない。また、切歯間角を正しく治すと、オーバーバイトは維持されると考えられている。
DR. WARREN
適切な切歯間角にすると、過蓋咬合で小さな下顎平面角の患者では、リラプスを防ぐのを助ける。しかし、いろいろな咬合平面角や下顎平面角を持つ患者でも、安定を得ねばならない。
DR. GOTTLIEB
DR. WARREN
健康なTMJは、安定に重要だ。すなわち、関節頭が関節窩の中で適切な位置にあること、磨耗癖や噛み締め癖のコントロール、悪化過程のコントロールまたは除去。
DR. HELMHOLDT
TMJD(TMJ dysfunction)は、順応の結果として、非対称な又は欠陥のある閉口運動を起こすこともあり、COとCRを一致させることが困難となる。この咬頭嵌合は、安定に重要だ。
p.84
DR. LOGAN
コンダイルのディスプレイスメントは、上顎の、下顎の、矢状的な、側方的な安定と関係している。
DR. COZZANI
成人患者では、コンダイルの吸収添加が咬合に影響することもあるし、成長患者でも、片側または両側のコンダイルの成長が不足していたり過剰であったりすると、咬合に影響することもあるだろう。リスクの高い患者を見つけ出すことが、大切だ。
DR. HARFIN
craniomandibular disordersと下顎の最終的な位置の間には、密接な関係がある。我々は、矯正治療を開始する前に、TMJに問題があるかどうかを注意深く調べなければ成らない。特に、成人患者と治療する時には、そうだ。成人患者の中には、臼歯を喪失している人もあるし、COがCRから著しく離れていることもある。これは、診断プロトコールの中でも重要な部分だ。我々は、理想的な歯並びを作ることだけではなく、治療結果を維持するために、筋をTMJをも正常化させねばならない。夜に装着しておくa stabilization retainerは、咀嚼筋とTMJをリラックスさせておくために、時々、必要となる。
DR. GOTTLIEB
DR. HARFIN
臨床的には、治療前に、pain scale scoreや下顎の可動範囲やTMJ音の有無も含めて、TMJ機能不全(TMJ dysfunction)の兆候や症候を主観的に客観的に評価し、記録する。顎関節のエックス線写真を評価し、関節円板の偏位(a preoperative disc displacement)があれば、MRIで顎関節を調べる。
DR. WARREN
私は、問診、必要なら触診、とエックス線写真をみる。
DR. HELMHODT
臨床検査では、問診で顎関節の問題点を洗い出す。私は、開口量と開口時の下顎の偏位をチェックする。それから、crepitusをみるために、関節を触診する。
Dr. LOGAN
私も、Dr. Helmhodtと同様にします。
DR. COZZANI
私は、診察の時にアンケート用紙を使う。必要ならば、それぞれの質問を繰り返し、その答えを修飾する。心理的な態度にも、特別な注意を払う。それから、両側顎関節を聴診し音を記録し、両側顎関節と咀嚼筋と首筋を触診し疼痛やこりを記録し、開口運動の滑らかさと同様に開口時の側方と前方への移動量を記録し、閉口時の早期接触と下顎偏位を記録する。顎関節が問題ならば、患者を専門家に紹介する。
DR. GOTTLIEB
ディスクレパンシィは、治療後の安定に、どのように関係しますか?
DR. HELMHOLDT
一般論で言えば、ツースサイズディスクレパンシィがあると、正常な咬頭嵌合が困難となり、安定に悪影響を与える。ツースサイズディスクレパンシィが僅かなら、歯をストリッピングする。
DR. COZZANI
もしBoltonディスクレパンシィがあれば、すなわち、下顎歯が小さければ、全てのスペースを閉鎖すると、早期接触とスライドが生じることもある。もしBoltonディスクレパンシィが切歯犬歯に限定されていれば、切歯誘導やcuspid riseは起こらないだろう。
85ページ
DR. LOGAN
Boltonの不調和による上顎正中離開も、ないこともない。
DR. HARFIN
治療中にツースサイズルディスクレパンシィをコンペンセイトしなければ、最も戻りやすい問題の一つだ。だから、ツースサイズディスクレパンシィが診断検査の一つとして分析されるべきなのだ。ツースサイズディスクレパンシィの臨床的に著しい増加も含めて、経年的に、上下歯列弓に大きな変化が起こることを憶えておくことも重要だ。これらの変化は、正常な成熟過程であると考えるべきであり、思春期患者と成人患者の治療と保定のオプションを計画する際には考慮されなければならない。
DR. WARREN
ツースサイズディスクレパンシィがあるならば、下顎切歯の抜歯がいいだろう。こうすると、問題を少なくし、同時に、下顎切歯の叢生を解決できるだろう。これが不可能ならば、下顎歯列を理想的に配列した後に、上顎前歯部にスペースができるだろし、不安定になる。これを避けるために、上顎側切歯が栓状歯の症例では、2つの上顎中切歯の口蓋側にリテーナーワイヤーを接着し、スペースを除去するために上顎歯の近遠心幅径を修正するように患者を専門医に紹介する。
DR. GOTTLIEB
DR. HARFIN
顔面の垂直成分を安定させるのが最も困難だ。過度のオーバーコレクションが推薦され、治療結果の長期の安定のためには、オーバーバイトとオーバージェットを大きくしておくことが重要だ。治療前の顔面の垂直パターンは、それ自体、治療後の不安定の量の予測に役立ちそうにない。
私の経験では、上顎歯列の拡大によって垂直パターンのあるオープンバイトを治療すると、このような治療では、前顔面高が僅かに減少し臼歯が圧下して下顎が前上方に動く傾向にあり、より安定した好ましい口腔周囲環境ができる。筋機能治療は、正常な鼻呼吸にする助けとなり、舌スペースを広げ、十分な気道をつくる。垂直成分の変化と前後的な変化の間の相関関係を理解することが重要だ。
DR. HELMHOLDT
正常な顔面パターンなら良治療結果で良安定、一方、異常な顔面パターンなら妥協した治療結果で妥協した安定。ジレンマは、不十分な治療となり、一般的な審美的要求を満たしていることを望むか、或いは、意欲過ぎる治療となり、プロフェッショナルな審美スタンダードを満たすように努力ようになる。
DR. LOGAN
ブラキフェイシャルタイプは、オーバーバイトとオーバージェットが大きくなる傾向にある。下顎切歯がアップライトし叢生があるときには、ドリコセファリックスは、オープンバイトが再発する傾向にある。
DR. COZZANI
通常、治療は、成長が終わる前に終わってしまう。それ故に、もしハイパーダイバージェント患者の成長が続くと、オープンバイトとClass IIに発達する可能性があり、一方、ハイポダイバージェント患者ではディープバイトへ発達することが予想される。
DR. WARREN
オープンバイトのあるハイアングル患者は、オープンバイトのあるローアングル患者よりも安定しにくいだろう。逆に、ディープバイトのあるローアングル患者は、ハイアングル患者よりも保定期間中にオーバーバイトが大きくなる傾向にある。
DR. GOTTLIEB
アンカレッジロスは、不安定性に寄与しますか?必要なアンカレッジのレベルをどのように診断しますか?
DR. HELMHOLDT
正しい診断と治療計画を得るための適切な検査。診断が間違っていると、上手な先生がベストな治療をしても失敗するだろう。必要とされるディファレンシャルアンカレッジが、かなり重要だ。相反移動がなさそうと考えられる症例は、単に、その動きを認識し同定できないのだ。
p.86
DR. COZZANI
私は、ボストン大学のGianellyによって開発された、叢生と正中とスピーカーブと側貌(切歯の位置)を考慮したシステムを利用している。それによって、治療計画を立案できるし、アポイント毎の必要なアンカレッジとその変化をもチェックできる。
DR. HAEFIN
治療中にアンカレッジロスする理由が幾つかあり、アポイントを守らないとか装置の破折のような患者に関係するものと、治療計画の失敗に関係するものがある。必要なアンカレッジは、顔面タイプ、審美性、叢生の量、臼歯関係犬歯関係、治療目的等と関係するに違いない。
DR. WARREN
叢生の量が大きいほど、Class IIが大きいほど、スピーカーブが大きいほど、切歯が前突が大きいほど、顔面がconvexであるほど、より大きなアンカレッジが必要となる。
DR. GOTTLIEB
アンカレッジロスを避けるために、Class IIメカニックスの使用を最小にしますか?
DR. HARFIN
いいえ。なぜならば、ヘッドギアやナンスプレートのような顎外装置、歯に頼らない装置によって、アンカレッジを得ることができるからです。我々は、ミニインプラント上の三次元サージカルテンプレートを好んでいる。それを使う利点は、最小の外傷、オッセオインテグレーション、効果的なアンカレッジの維持だ。
DR. COZZANI
もし患者の協力が良くて、治療計画に合致するのならば、私はClass IIエラスティックスを使わないようにしている。下顎アンカレッジロスを避けるばかりではなく、バーティカルコントロールを良くするためだ。
DR. WARREN
閉鎖すべき下顎抜歯スペースがあるときには、私は、よくClass IIメカニックスを使う。そして、アンカレッジコントロールのために、サービカルストレートプルヘッドギアを使う。
DR .HELMHOLDT
顎外牽引は、他の歯に相反力を働かせないで歯を動かすための、有効な手段だ。私は、協力が良好だと思えば、アンカレッジを保存するためにサービカルボウを使う。しかしながら、顎外牽引を増加させるためにClass IIメカニックスが必要ならば、相反移動をコントロールまたは少なくするために、下顎歯列を"set up"することを試みる。
DR. LOGAN
ヘッドギアに加えて、リンガルアーチまたはナンスホールディングアーチと、大臼歯インプラントを、私は使う。しかし、幾つかの症例では、アンカレッジロスさせたいかもしれない。ほとんどの抜歯症例では、幾らかアンカレッジロスさせて治療するのがベストだ。10mm以上のディスクレパンシィがある症例は稀だ。しかし、アンカレッジロスが許されない症例もあるだろう。
DR. GOTTLIEB
Class I上下顎前突症例で、スケレタルアンカレッジを考えますか?
DR. COZZONI
はい。考えます。マキシアムアンカレッジで、患者の協力が期待できないならば、または、成人患者が選択したならば、使う。
DR. LOGAN
前歯をどこに置くのがベストなのかによる。ほとんどのClass I上下顎前突の抜歯症例では、顔面審美を得るために、トータルアンカレッジは必要でない。
DR. WARREN
Class I上下顎前突症例で最大の後退量を得るために、私は、アンカレッジのためのヘッドギアを使用し、ヘッドギアとClass IIIエラスティックスを併用する。
87ページ
DR. HELMHOLDT
ミニスクリューを使ったスケレタルアンカレッジは、メリットがあると私が考えているこれからのテクニックだ。このテクニックがより洗練されて、より一般的に患者に受け入れられるようになったら、インプラントアンカレッジを私は真剣に検討するだろう。
DR. GOTTLIEB
Herbstのような協力の必要ない装置は、Class II症例では、下顎切歯をフレアーする傾向にありますか?そうならば、どのように防ぎますか?
DR. LOGAN
下顎切歯をフレアーさせたくなかったら、Herbstは使うな。
DR. HELMHOLDT
もうどうしようもない時だけに、私は、協力の必要ない装置を使う。このような装置で生じる遠心への力は、同じ大きさで反対方向の力、すなわち、切歯をフレアさせるかもしれない近心への力を生じる。この起こりやすく好ましくない副作用は、太いワイヤーや切歯リンガルクラウントルクでは、完全には和らげられない。
DR. COZZANI
このタイプの装置を使って、下顎切歯のフレアを完全に避けれるとは、私は思わない。しかし、多くの下顎歯を繋ぎ止める等のような、副作用を減ずる手段がある。Hansen等のロングターム研究では、そのようにして生じたフレアは、時とともに減少する。(12)
DR. HARFIN
協力の必要でない幾つかの装置では、下顎切歯をフレアさせる。角のセクショナルアーチを使うことによって、Class IIが改善されるまで前歯部にブラケットを付けないことによって、それを防がねばならない。ブラケットを付けると、もっと前突しやすい。前突してはいけない極端な症例では、下顎前歯部に固定式リテーナーを使う。
DR. GOTTLIEB
治療後の安定の必要条件として、Andrews's Six Keys to Occlusionを、どのように考えますか?
DR. COZZANI
Six Keysは、安定性を保証しているのではないが、少なくとも、明確なやり方で、治療目標を示している。
DR. HARFIN
Six Keysは、統計学的に治療結果を評価するのに、良いガイドとなる。上顎第一大臼歯咬頭が下顎第一大臼歯窩にくるというようなkeyは、治療後の安定性の指標となりうる。ベストの安定を得るために、six keysを完成させねばならない。
DR. WARREN
six keysは、理想的な治療結果を得るための価値あるガイドとして使われてきたが、安定は、必ずしも理想的ではない治療結果でも、得られうる。
DR. LOGAN
単なるガイドにすぎないと、私も考えている。
DR. HELMHLODT
私は、six keysが好きだ。咬合の考え方やフィロソフィーには幾つかあるが、ほとんどが咬合が安定性の重要な要因であると言っているようだ。
DR. GOTTLIEB
DR. COZZANI
ある範囲内では、私は、そうは思わない。
DR. LOGAN
そのような関係があるという、証拠に基づいた報告はない。
DR. WARREN
過大な力は、歯根や歯周組織にダメージを与える傾向にあると、私は信じている。もちろん、そのようなダメージのある症例では、長期の安定性に欠けるだろう。
88ページ
DR. HELMHOLDT
矯正力は骨吸収骨添加によって歯を動かす。歯周組織の適応または回復可能な範囲を越える過剰力は、歯周組織ロスや歯周組織破壊を起こし、歯根吸収の可能性を伴って、不安定にさせる可能性がある。
DR. HARFIN
もし短期間に過大な力で治療されたのなら、初期の不正咬合は再発するかもしれない。過大な力は、歯根吸収を起こす可能性があり、それによって不安定になりうる。また、力を、歯周アタッチメントの量と関連付けねばならない。90%アタッチメントの患者と、20&アタッチメントの患者に与える力の大きさが同じであるとは、考えられない。
DR. GOTTLIEB
一つの定型的なブラケットシステムで、全ての患者の安定を得られるだろうか?
DR. LOGAN
いいえ。個々の患者の特性があるので、フィニッシングアーチになんらかのベンドが必要でないのは、まれだ。メーカーはいろいろ言っているが、パッシブセルフライゲティングブラケットでさえ、歯をベストの位置を決定する能力を持っていない。
DR. COZZANI
もし正しいフィニッシングが安定に不可欠ならば、個々の患者に合わせた治療をせずに、安定が得られるはずがないと、結論されねばならない。
DR. HELMHOLDT
それぞれの症例はユニークであり、固有のダイナミックな生物学的な変化システムを持つ。だから、それぞれの症例は、メカニックスの単純化と診断の単純化とは関係ないという事実を見逃すことなく、それぞれのメリットに基づいて、特化されたメカノセラピーで治療されねばならない。術者の偏見が特定のテクニックを真似するのを正当化するものではないし、計測を組み合わせるのを正当化もしない。たとえ、それが科学的であるように見えたとしても。
DR. HARFIN
プレアジャステッド装置は、一般的に、良好な治療結果を得るのに、矯正医の効率性と有効性を改善してきた。しかしながら、全ての患者が同じタイプのブラケットに同じ反応をし、全ての患者ですばらしい結果が得られると考えるのは、ばかげている。矯正医は、プレアジャステッド装置では対処できない個々の患者があることによって、そして、装置を正確に位置づけられる臨床家の能力によっても、限界がある。
DR. WARREN
抜歯症例では、特に下顎歯列において、抜歯部位付近の歯根の位置が良くなるようにstrapupを調整すれば、うまくいくようだ。ハイアングル症例でも修正が必要だ。私は、大臼歯ブラケットやチューブにティップを入れないことによって、第一大臼歯歯根の近心傾斜を防ぎ、歯冠の過度のアップライトを防ぐようにしている。
DR. GOTTLIEB
装置撤去前に、アーチワイヤーを外してみて、安定性をチェックしますか?
DR. WARREN
いいえ。装置撤去後に直ちに、その位置に保定される必要があると、私は考えている。
DR. COZZANI
私も同意します。捻転や叢生が再発するのは、最初の24-36時間が重要であることが示されている。
DR. LOGAN
そうすると、再治療が必要となって、不幸な患者を作ることにもなる。切歯が捻転していた症例なら、安定性のテストのためにワイヤーを撤去すると、多かれ少なかれ捻転が再発するだろう。私は、アーチワイヤーまたは装置を撤去する前にリンガルリテーナーを接着する。
89ページ
DR. HARFIN
それは、症例による。治療前の不正咬合の状態、その治療結果、治療期間、治療前に存在していた習癖、TMJ異常があるかどうか。
DR. HELMHOLDT
セトリングが有益であると判断した場合には、時々、アーチワイヤーを外す。特に、フォースシステムが固有の成長パターンを圧倒していたかもしれない場合。
DR. GOTTLIEB
安定性を良くするために、super-Class Iにしたり、臼歯咬頭嵌合を"sock in"したりしますか?
DR. COZZANI
臼歯咬頭嵌合を"sock in"すること。
DR. LOGAN
僅かにsuper-Class IのままにしたClass II症例をもっている。
DR. WARREN
私も、臼歯咬頭嵌合を"sock in"するのを好む。なぜならば、それが、患者が再来した時に、ベストを維持しているような理想咬合の症例であるからだ。
DR. HARFIN
Class Iのうち幾つかのタイプは良く安定していたが、私の感想では、臼歯咬頭嵌合を"sock in"した方がより安定する可能性が高い。
DR. HELMHOLDT
それが望ましいと、私も考えます。もし、患者の協力が得られ、そうできるのなら、そうだ。
DR. GOTTLIEB
Class II、捻転、正中のずれのような不正の90%のコレクションは、安定していますか?
DR. HELMHOLDT
症例にもよるが、、適切に推奨された期間、保定されたならば、そうだ。
DR. LOGAN
固定式保定装置なら、そうだ。
DR. HARFIN
私の経験では、機能的バランスがとれていれば、90%のコレクションで、治療結果は安定を保つ。捻転と叢生は、オーバーコレクションが最も必要になるようだ。もちろん、これらは、保定方法と保定期間とも関係する。
DR. WARREN
正中とClass IIは、90%のコレクションで安定しうるが、捻転を治した歯は、なかなか維持されないだろう。
DR. GOTTLIEB
DR. HELMHOLDT
極めて重要だ。特に、歯周組織の健康のために、そして、健康な顎関節と安定した咬合を確実なものにするためには、そうだ。
DR. COZZANI
CRは、治療計画を立案するための、治療経過をコントロールするための、フィニッシング時の咬合の安定性と早期接触と犬歯誘導と切歯誘導をチェックするための、参照事項だ。治療終期において、側方シフトを惹起する早期接触や、ピボットと下顎の反時計回りの回転を生じる臼歯早期接触は、機能的な問題を生じうる。
DR. HARFIN
COと偏位咬合での理想的なコンタクトとコンタクトの局在は、咬合の安定を得るのに必要だ。しかしながら、私の経験では、COでのコンタクト数は、保定期間中に増加する。他の要因、すなわち、咬合の安定と犬歯誘導とグループ誘導を維持する際の切歯誘導の役割、そして、咬合性外傷を起こしうる歯軋りや悪習癖の役割も、また、安定を維持するのに重要だ。
DR. GOTTLIEB
CRとCOの差が大きいと、不安定になりますか?
DR. COZZANI
4mm以上スライドすると、TMJ問題と関係する。
DR. LOGAN
3mmの下顎後退のある症例のほとんどは、安定している。それ以上だと、時々、full Class IIに戻る。
90ページ
DR. HARFIN
消化器系の組織と構造は、いろいろなやり方で適応していくが、調和していく方向で適応する場合には、機能的な力に適応する。この適応能力は、個々の患者によって異なるし、機能と安定がバランスする傾向にある。我々の目標は、CRとCOが一致するように症例を終了することだ。そうしなければ、ディスクレパンシーの量にもよるが、適応が不安定をもたらしうる。
DR. WARREN
私は、矯正治療で良好なCOになるようにしており、ナソロジストのようにCOとCRを正確に一致させようとはしていない。しかしながら、Class II関係を治すのに"Sunday bite"を利用するのは、安定していないだろうと、私は考えている。
DR. GOTTLIEB
安定を得るために、終了した症例は、一律に咬合調整する必要がありますか?
DR. HELMHOLDT
centric and/or excursive occlusionで外傷や干渉があれば、そうだ。
DR. HARFIN
終了した症例は、咬合調整されて、分散した咬合接触があるべきであり、それが咬合の安定の確立に関与するようだ。終了した症例が常に咬合調整されてなければならないという訳ではなく、咬合接触が均等に分散されていない場合には、咬合調整が必要だ。
DR. COZZANI
2mm以内の中等度のシフトは、たぶん生理学的だ(13)。
DR. WARREN
私は、治療後に、一律に、咬合調整するわけではない。私は、動的矯正治療中に必要に応じて咬合調整する。
DR. LOGAN
付け加えると、上顎切歯の発達した舌側隆起は原則的に咬合調整されるべきである。なぜならば、ツースサイズ問題を起こすだろうから。インド系やアジア系の人は、このような隆起があることが多い。
DR. GOTTLIEB
DR. HARFIN
矯正治療後の安定性における第三大臼歯の影響については、広範囲に研究されてきた。第三大臼歯にまつわる論争は、それらが起こしうる病理学的問題と、それらの抜歯の利点欠点に焦点が当てられてきた。それらの結果から、Class Iローアングル症例治療後の第三大臼歯の萠出は、不安定性の主要な原因ではないが、Class III患者でも同じかどうかはわからない。スペースの有無、近心傾斜度、下顎切歯の叢生の度合い等を評価することが重要だ。
DR. COZZANI
切歯叢生の再発の本当に僅かなパーセントだけが、いわゆる"third-molar push"であろうと、示されている。
DR. HELMHOLDT
萠出のどの段階においても第三大臼歯の存在は、前歯の安定性に殆ど又は全く影響しないと、私は、確信しているし、信頼できる研究や文献は、それを裏付けている。軽度から中等度の切歯叢生が起こる可能性があるというのは、ヒトの形態に静止しているものはないということの証明だ。
DR. WARREN
しかしながら、治療症例でも非治療症例でも、うまく維持できない時には、第三大臼歯の萠出が不安定を引き起こした可能性あると、私は考える。
DR. GOTTLIEB
咬合の最終的なセトリングためのポジショナーの使用は、安定に役立つか?
DR. HARFIN
既製のポジショナーは、歯の大きさや歯列幅やアーチフォームの個々のバラツキを考えていない。私の考えでは、それらは一時的に使用されるべきだ。他方、カスタムメイドのポジショナーは、歯の位置や咬合関係を少し治すように作製されている。それらはTMJ障害の患者に非常に有益であり、歯周アッタチメントのロスの有無にかかわらず、成人患者にしばしば使っている。しかしながら、これらのどちらとも、患者の協力が必要だ。
DR. LOGAN
ポジショナー装着後は、可徹式リテーナー装着の協力が良くなるのは、それらがより良く適合するからだ。軟組織の肥大は少なく、症例はセットルされる。ポジショナーの欠点として、使用していないければ再発が起こりうるし、信頼できる優秀なテクニシャンが必要となる。私の患者がポジショナーを使う際には、リテーナーになる前に、ポジショナーを9日間ほど使してもらう。
91ページ
DR. COZZANI
私の個人的な意見では、固定式装置で歯の移動を終わることの方が、はるかに容易だ。私が予定した様に終えることができないなら、私はポジショナーを使用するかもしれないが、そんなに期待しないだろう。
DR. WARREN
私も、エッジワイズ装置で可能な限り理想的な位置に配列しようと試みる。セトリングは、リテーナーでなされる。リテーナーで、徐々に僅かに釣り合いをとり、セトリングする。
DR. GOTTLIEB
DR. LOGAN
完全ではないが、固定式リテーナーを使い、それが保持されている限りは、そうだ。リテーナーは、ダイヤモンドのようだ。それは、"永遠"だ。
DR. HELMHOLDT
経験的には、ありうる。なぜならば、消化器系の生物学的侵害がない限り、連続した組織の固有の適応が細胞レベルの起こるからだ。私は、可能であれば、期間を限らないで、固定式リテーナーを用いる。
DR. HARFIN
一般的に、捻転や叢生や圧下等をうまく治していれば、固定式保定装置は、安定性を増す。オープンバイト症例では、筋機能治療も併用しなければならない。リテーナーは、治療後、少なくとも2-3年にわたり使われるべきだが、歯周アタッチメントが減少した成人患者では、永久的にりてーなーを使うことを、私は勧める。どうしたら治療後の歯並びをうまく維持できるかを、患者に説明しなければならない。保定については、治療前の説明の時から行うことを留意せよ。
COZZANI
固定式でも可徹式でも、うまくデザインされたリテーナーは、治療結果を維持する。保定が中断されたら、何が起こるのかを予想するのは困難だ。それ故、長期の保定は、しばしば、望ましい。私の患者が「どのくらいの期間?」と私に質問すると、私の答えは、いつも「あなたが歯並びを真っ直ぐにしておきたいと思っている間」だ。初診時に、私の責任は歯を真っ直ぐにすることであり、一方、あなたの責任は、歯を真っ直ぐに維持しておくことだと明らかにしておく。
DR. WARREN
保定は、重要な時期、すなわち、治療後の数ヶ月間、安定を確実にする。私の診療室では、可徹式リテーナーを一ヶ月間にわたりフルタイムで、それから、夜だけ装着してもらう。リテーナーをa checking applainaceとして3日毎に装着してもらうまで、徐々に装着時間を減らす。第3大臼歯がうまく萠出するまで又は抜歯されるまで、ヤングアダルト患者にリテーナーを使ってもらう。アダルトは、出来るだけ長期にわたって使ってもらう。また、私は、確実に保定されるボンダブルリテーナーも使う。DR. GOTTLIEB
保定終了後5年以上たった症例で、どれが安定しており、どれが安定していなかったか?
DR. HARFIN
我々の知見では、治療後に、叢生や切歯の不揃いは、上顎よりも下顎において頻繁に起こる。下顎切歯のリラプスは、長期にリテーナーを使わなければ、ほとんど不可避だ。下顎歯列の過剰拡大は、下顎切歯のリラプスの要因であり、治療後の3-12ヵ月後にしばしば見られ、ある患者では、数十年にわたって続く。加えるに、垂直方向の不正咬合を保つのは、非常に困難だ。
92ページ
DR. HELMHOLDT
5年後で最も安定している症例は、正常な機能的な力が均衡している、言い換えれば、歯の周囲の隣接する筋や軟組織や硬組織が矯正治療後の状態に再調整されているように、治療した症例だ。こうなってなければ、不安定な傾向がある。
DR. LOGAN
混合歯列期に治療開始した症例が最も安定しており、思春期では少し安定しないし、成人は最も安定しない。
DR. WARREN
私の診療室で、安定している症例は、ベストに治療され、患者がリテーナーが装着している症例だ。安定しない傾向にある症例は、舌突出に関係するオープンバイト症例で、治療中と保定中に患者が協力しない症例だ。
DR. GOTTLIEB
DR. LOGAN
はい。永久保定で、歯の位置は変わらない。接着性リテーナーは最も効果的で、ホーレーリテーナーは最も効果がない。
DR. COZZANI
固定式でも、可徹式でも、うまく計画された保定は、治療結果を維持する。
DR. HELMHOLDT
永久というのはないように、永久保定もないのだ。固定式の保定は、うまくいくようだ。なぜならば、それは、常に動こうとする歯に作用する異なる僅かな力の全てに抵抗するのを助け、バッカルセグメントが邪魔されないようにセットルさせるからだ。
DR. WARREN
私は、成人患者には永久保定を勧めている。成人はリラプスしやすい。それは、矯正医が何か失敗したわけではなく、長期にわたって歯が正しい位置から外れていたからだ。
DR. HARREN
永久保定は、安定を維持するための最良な方法の一つだ。それは、また、患者のニーズと要望に合致する。私は、固定式リテーナーを好んで使う。少なくとも、リラプスが起こりやすい下顎はそうする。特に、歯周アタッチメントが減っている患者では、そうする。
GOTTLIEB
永久保定をすると、拡大の限界を超えて拡大しても良いか?
DR. HELMHOLDT
過大な歯列拡大の無期限の保定は、通常、保証されない。なぜならば、それは、過大なストレスに対する歯周構造の問題だからだ。
DR. COZZANI
我々は、機能的限界や起こりうる副作用と同様に、歯周構造の限界を考慮しなければならない。
DR. WARREN
永久保定が歯を過大に拡大された位置に保てるが、歯周組織が影響を受けるだろう。その結果は、頬側歯肉の退縮と骨のロスだ。
DR. HARFIN
歯と機能的組織との関係による。拡大は、後方歯部で最も頻繁にみられ、固定式リテーナーは、通常、前歯部に付けられる。だから、我々は、拡大を、リテーナーと歯の関係よりも、筋と歯の関係に結びつける。
DR. LOGAN
永久保定が撤去されると、通常、幾らかリラプスするだろう。何年間も下顎歯が安定している患者で、リテーナーを止めると数ヶ月以内に叢生が発生するのを見るのは、有り得ないことではない。
DR. GOTTLIEB
目のケアや歯のケアのように、治療後のサービスとして、保定のケアを視覚化できますか?
DR. COZZANI
もちろんです。
93ページ
DR. WARREN
私の診療室では、再来院する患者にとって、保定は進行中の出来事です。我々は、ワイヤーを交換し、ボンディング材を付け加える。リテーナーが磨耗、紛失、破損した時には、新しいリテーナーを製作する。歯が動いたなら、元の位置に歯を戻すのに多くの方法がある。
DR. HARFIN
保定ケアは、患者にとって引き続きのサービスであるべきだ。我々は、少なくとも10年のあいだ定期保定チェックし、アポイントメントの間隔は徐々に長くする。我々の患者は、このリコールをよく認識しているので、私は、引き続きのサービスとして視覚化できる。
DR. HELMHOLDT
ある意味では、それは生涯にわたるものだ。私は、約15ヶ月のあいだ保定をモニターし、それから、来院してもらわず、患者と親に管理を任せ、そして、先で変化が起こったと感じる場合に備えてドアを開放しておく。必要なら、許容できないリラプスが私の落度なら、無料で再治療する。または、患者の協力が足りなかったり、予想しなかった成長不足があったり、異常または破壊的習癖があったりした場合には、正当な治療費で再治療する。
DR. LOGAN
最初の1年間の保定後、6ヶ月の間隔でアポイントメントを計画する。このスケジュールを守る患者で、大きな問題があることは、滅多にない。私は、多くの患者を再治療する。彼らは、以前に治療を受けた矯正医に、「1年の保定後に、あなたに会う必要はないでしょう。リテーナーが適合していることを確かにするために、定期的にリテーナーをテストして下さい」と言われていた。リラプス災難を起こす元凶だ。
DR. GOTTLIEB
歯の不安定性は、自然な進行していく現象なのですか?それとも、それは自然現象ではなく、我々が議論してきたようなアンバランスが幾つかあるために起こるのでしょうか?
DR. WARREN
ヒトの身体で安定しているものは何もない。変化の多くは年齢と関係するものであり、常に変化し続けている。矯正医と患者が、身体中で変化しているのに、口だけが石膏で作られているかのように変化しないと思うことは、非現実的だ。
DR. HELMHOLDT
定義すれば、成長、発達,加齢は、変化を意味する。その変化が潜行性であれ無害であれ、生涯にわたって起こる歯の状態の変化は、自然であり常に起こっている。しかし、診断ミスや治療ミスは、アンバランスを起こしうるし、受け入れがたい不安定を生じることもある。
DR. HARFIN
治療前の不正、治療のタイプ、治療直後の歯並びが、歯槽性骨格性の治療後の変化に影響する主な要因だ。私の結論として、治療に関係する治療後の変化は、解剖学的限界内で機能的バランスがとれている治療目標を立てることによって、減少できうる。
DR. COZZANI
私の個人的な意見として、歯の不安定性は、加齢過程の一つだ。歯は、壁に打った釘のように骨に固定されているのではなく、自然現象として常に動いており、その動きは、一部、後方歯が近心移動する傾向によるものであり、一部、環境刺激に対する反応である。私は、「我々は、自然を相手に試合をしている」と言ったLysle Johnstonと同感だ。
DR. GOTTLIEB
もしリラプスが起こったなら、再治療により、より安定になりますか?
DR. HELMHOLDT
そうです。最初の診断時に認識されなかった要因のために再発したかもしれない。それなら、再治療で、それらに取り組めうる。
94ページ
DR. WARREN
言い換えれば、リラプスを起こした理由が是正されたなら、再治療で安定が得られうる。動的矯正治療直後からリテーナーを装着するとか、非抜歯治療であったものを抜歯するとか。
DR. LOGAN
もし歯がストリッピングされ、捻転は僅かにオーバーコレクトされ、オープンバイト症例では下顎スパーが使われるならば、再治療は、より成功しうる。
DR. HARFIN
習癖と関係する機能的アンバランスのために起こったリラプスは、頻繁にある。だから、再治療は、違う観点からフォーカスされねばならない。
DR. COZZANI
長期にわたる研究によれば、人生の10代と20代にリラプス傾向が高い(14, 15)。それ故に、20代で再治療すれば、リラプス傾向は少ないとも考えられる。
DR. GOTTLIEB
最後に、何かコメントはありますか?
DR. HARFIN
幾らかのオーバーコレクション、固定式リテーナーの使用、過拡大の回避、良好な機能的バランスが、安定の鍵となると、私は強く信じている。
DR. HELMHOLDT
私は、健康的で、審美的で機能的に安定した位置に、歯を動かすために、多くの装置を使い、その殆どは、固定式エッジワイズ装置だ。より明確で正確な診断と治療計画、より洗練されたメカノセラピィーによって、矯正治療の安定は、向上し続けるだろう。しかし、咬合や安定や機能や審美に注意を払い、消化器系の生物学的限界内で、患者への思いやりのある治療することが、優れた矯正治療の支えだ。
DR. WARREN
我々は、安定を得よう試みているが、現実には、ほんの一部分の患者しか達成できていないし、しかも、長期にわたるリテーナーを使ってだ。安定が最も効果的に得られていると私が信じているテクニックは、優れた治療結果を得ることだ。達成できた咬合が良ければ良いほど、安定もより良くなる。
DR. LOGAN
もし、今日、アインスタインが矯正医だったなら、次のように言っただろう。「インテリ矯正医は、保定問題の解決に時間を費やすだろう。天才矯正医は、保定問題を防ぐのに時間をついやすだろう」。 REFERENCES 12. 13. 14. 15. 以上、全訳です。