ジャパンジャパンリサーチ

Intra-Arch Maxillary Molar Distalization / Appliances for Class II Correction

ROBERT G. KEIM, DDS, EDD, PHD

CHERYL BERKMAN, DDS, MS

J. Clin. Orthod. 39; 505-511, 2004

以下、私が全訳しました。

全ての矯正患者のうち約1/3はClass II患者である(1、2)。これらの患者は、異なる病因を持つが、似たような口腔内所見と口腔外所見を示している(3)。どのClass II患者にも適用できうる単一のメカニックスはないので、個々の状態に基づいて診断し計画することが大切である。McNamara and Brudonによれば、「それぞれの治療手段が頭蓋顔面部の骨格構造に与える効果は異なり、異なる部位の成長を促進したり抑制したりする」(4)。

Class II不正咬合のいろいろな治療方法について、多くの研究がなされてきた。実際、1980年代の10年間に130以上の論文がClass IIに関するもので、14の異なる装置システムまたはアプローチが論じられている(5)。1990年以降も多くの論文が発表されてきた。

ヘッドギアと機能的顎矯正装置(functional appliance)がKloehn(6)やBalters(7)の時代からClass II治療に用いられてきたが、一つの治療装置で多元的な問題に対応できるという考え方は少し甘い。Kleohn-type headgearは、上顎を後方に維持するために強力なアンカレッジとなり、下顎を前方に来るのを妨げない(8−10)。しかし、そのアキレス腱は、常に患者の協力が必要なことである。多くの臨床家は、患者にヘッドギアを使用するようにと説得しなくなってきた。

下顎をClass Iの位置に前方移動させる機能的顎矯正装置は、下顎劣成長の成長期の患者には、効果的である。これらの多くの装置--100年の歴史を持Herbst装置には多くの種類がある(図1)--は、患者の協力を必要としない。しかしながら、すべてのClass IIが下顎劣成長によるものではない。10−15%は上顎の前方位に起因する(11)。そのような症例では、下顎の前方移動は問題を悪化させる。必要なのは上顎歯槽構造の遠心移動である。幸いなことに、患者の協力を必要としない多くの顎内遠心移動装置がある。

Spring and Wires

おそらく、最も簡単で安価で歴史ある装置は圧縮コイルスプリングである。ステンレススチールとニッケルチタンのコイルスプリングが20世紀初頭から用いられており(11、12)、上顎大臼歯の遠心移動を成功させるためにNance applianceが併用される。しかし、これらの装置のClass II治療に対する効果の研究は多くはない(13)。

Gianelly等は、第一小臼歯から第一大臼歯の016"X022"ステンレススチールセクショナルアーチにニッケルチタンコイルスプリングを使うことを薦めている(14)。そのスプリングが圧縮されたときに100gの力がワイヤーに沿って大臼歯を遠心移動させる力として働く。両側第一小臼歯の口蓋に延長されたNance applianceがアンカレッジとして用いられ、018"アップライティングスプリングが小臼歯ブラケットのヴァーティカルスロットに置かれる。彼等は、100gコイルを8-11mm活性化すると、約20%アンカレッジロスを伴って、上顎第一大臼歯が月に1.5mm遠心移動すると報告している。更に活性化が必要ならば、コイルの圧縮を大きくするために、Gurin lockを使用しても良い。過度のアンカレッジロスを認めるならば、別のメカニックスを追加する。Gianellyは、最大の遠心移動を達成するために、第二大臼歯萌出前の咬合歯列期にこのメカニックスを使用することを進めている(15)。

1998年にMiura等はJapanese NiTiスプリングと従来のステンレスチールコイルを比較した結果(16)、ニッケルチタンのスプリングの方が好ましい遠心移動力と弾性特性を持ち、一定の持続的なライトフォースを発生した。スプリングの力の大きさは、コイルの直径、内径の大きさ、変態温度により容易にコントロールできる。

コイルは片側性のClass IIの是正にも使用される。1992年に、Reinerは、12人の患者に片側性舌側オープンコイルスプリングのついたQuad Helixに似たmodified Nance applianceを装着し、1週間あたりに1.9mmの上顎大臼歯の遠心移動があったと報告している(17)。同様に、Kelesは15人の患者に片側性の大臼歯遠心移動を行った(18)。彼は、Nance button, anterior bite plateと併用し、上顎第一大臼歯の抵抗の中心に力が作用するようにしたニッケルチタンコイルスプリングで、6.1ヶ月で、Class II大臼歯を平均4.9mm遠心移動できた。アンカレッジロスは、第一小臼歯の1.3mm近心移動、切歯の1.8mmの前方移動、切歯の3.2度の前方傾斜、オーバージェットの2.1mm増加であった。

他の著者等は、遠心移動を効果的に行うために、Nance applianceを改良しコイルスプリングの配置を工夫してきた(9, 20)。Pieringer等は、上顎大臼歯が5.2-22.2度の遠心傾斜を伴って1.8-10.5mm遠心移動したと報告した(19)。彼等は、遠心移動で複雑な三次元的な動きが起こり、遠心移動量と治療期間は治療前の傾斜度、捻転度、切歯の前突度とは相関がなかったと報告した。

圧縮コイルスプリングほど一般的ではないが、圧縮ワイヤーも遠心移動に用いられる。Locateli等は、上顎大臼歯の遠心移動に超弾性ニッケルチタンワイヤー(NeoSentalloy)を使用した(21)(図3)。圧縮されたワイヤーの近遠心にクリンパブルストップを置いて上顎大臼歯に100gの遠心移動力を発生させ、マグネットやニッケルチタンコイルスプリングと同じように使用した。

Gianellyは、Bidimensional techniqueに関する教科書の中で、Nance applianceの改良型と併用して、NeoSentalloy wireとSentalloy coilの使用を主張した(22)。018"X025"のSectional or continuousニッケルチタンアーチワイヤーを使い、コイルが発生する100gの一定の力で、上顎大臼歯が効果的に遠心移動する。Gianellyは、月に0.5mm遠心移動するが、個々のバラツキが大きく2mmのovercorrectionが必要であると述べている。

Kalralは、大臼歯の遠心移動のmoment-forceをコントロールするために、TMAワイヤーを屈曲したK-loop--彼が命名した--を使用した(23)。彼は、Nance buttonと併用して、第一大臼歯と第一小臼歯の間に置かれた圧縮ワイヤーが、大臼歯の傾斜移動よりも歯体移動すると論じている。

Jones Jig

Jones Jigは、第一小臼歯、第二小臼歯、または第二乳臼歯にNance applianceの改良型と併用して、ニッケルチタンオープンコイルスプリングの1-5mmの圧縮量で70-75gの力を発生させた。最小のアンカレッジロスで上顎後方歯群の遠心移動ができたので、Jones and Whiteは、「Jpnes jigは、患者の協力を必要としないClass II関係を是正するための、予測可能な、短期間で効果のある、痛みの少ない方法だ」と結論した(24)。彼等は、中等度のClass IIで90-120日、重度のClass IIで120-180日で治療できたと報告した。この装置は他の装置と併用するように設計されている。しかしながら、Jones and Whiteは、Jones JigとNance applianceで治療された患者と比較して、フルブラケットとJones Jigで治療された患者では初期に前歯の前方移動が起こる傾向にあると警告した。

Jones Jigの力の作用方向は歯の抵抗中心の咬合面寄りで頬側寄りなので、上顎大臼歯が傾斜し捻転することが示されている(12, 25-27)。Brickman等は、最終的なディボンディング後の長期の効果を研究した(27)(前述の著者は遠心移動前後を調べただけである(25, 26))。ヘッドギアで治療した患者群と比較して、Jones Jigでは上顎第一大臼歯が遠心に7.5度傾斜し上顎第二小臼歯が4.5度近心傾斜し、上顎第一大臼歯が2.5mm遠心移動し上顎第二小臼歯が2mm近心移動した。Brickerman等は、治療後の上顎大臼歯と切歯を調べた結果、Jones jig使用群はヘッドギア使用群と比較して統計学的有意義を示さなかったが、この結果はフルブラケットによる大臼歯、小臼歯、切歯のself-uprightingに起因すると述べている。Haydar and Unerは、アンカレッジコントロールのために、顎外牽引装置(J-hook headgear)またはClass II elasticsと併用してJones Jigを使うことを薦めている(26)。彼等は、「Jones Jigは患者の協力を必要としないClass II不正咬合を非抜歯で治療できる装置であるが、最終的な治療結果はcervical headgearのような従来の装置と矛盾しない」と結論した(27)。

Distal Jet

Distal Jetは患者の協力を必要としない顎内装置の一つで、他の装置によって起こる望ましくない大臼歯の歯冠の傾斜をさせないようにしながら上顎大臼歯の遠心移動を行うために、1996年にCarano and Testaによって考案されたものだ(28)。Distal Jetは、acrylic Nance buttonと第二小臼歯と第一大臼歯につなげられた両側性のlingual tubesからなる(図4)。コイルスプリングとscrew-clampがスライドし、月ごとに第一大臼歯寄りにclampをスライドすることによりスプリングが活性化される。遠心移動終了後にはNance retainerとして再利用できる。

Carano and Testaは、Distal Jetによる大臼歯の移動速度はJones Jigによるものと似ているが、大臼歯が著しく傾斜したり捻転したりせず、前歯部のアンカレッジユニットは治療中も比較的安定していると言っている(28)。他の研究者もこのような所見を得ている(1)。McNamara and Brudonも、Distal Jetは大臼歯の舌側移動や傾斜が少なく、審美的にも優れ、患者にとって快適で、遠心移動後にNance holding archとしても利用できる利点があることを指摘している(11)。他方において、Distal Jetの力は口蓋側で作用するので、ローテーションコントロールが難しく、上顎第一大臼歯の近心捻転がよく起こる(12)。

オリジナルのDistal Jetをより効果的に、また、使いやすくするために、いくつかの改良型が発表さている(19-33)。その一つは、アンカレッジコントロールのためにNance buttonの位置にインプラントを埋め込んだものである(34)。Jasper JumperとDistal Jetの併用もClass IIの効果的な治療方法となった(35, 36)。

Pendulum Appliance

Hilgersによって紹介されたPendulum applianceは、コイルスプリングを使わないという点でユニークである(37, 36)。その代わりに、032"TMAスプリングが上顎第一大臼歯に持続的な力を与える(図5)。前歯部のアクリリックから延長された四つの咬合面レストが第一第二小臼歯にバンドされるかボンディングされれ、大きなNance buttonがアンカレッジとして使われる。Hilgersによれば、「この装置は、口蓋の正中から上顎大臼歯へ力の大きな振り子--pendulum--を発生させる(37)」。それ故に、舌側の力は大臼歯に作用する;クロスバイトの発生を防止するためにエキスパンジョンスクリューが付け加えられることもあり、(the Pend-X version)、TMAスプリングにオメガループが加えられることもある(12)。

Pendulumに関して、かなりの研究が行われてきており、大臼歯遠心移動の有効性が確認されている(2, 39-49)。しかしながら、その副作用のために、Pendulum applianceも他の顎内装置のように骨格性または歯性のオープンバイト患者、ハイアングルケース、下顔面高の過大な患者、上顎切歯が前傾した患者には禁忌である(12, 13)。

Bussick and McNamaraは、Pendulum applianceをハイ、ニュートラルまたはローアングルを持つ様々なデンタルステージの患者に使用し、その歯槽性および骨格性変化を調べ、大いなる知見を得た(45)。13名の矯正医からの10名の患者のX-rayを調べた結果、Pendulumは上顎第一大臼歯を平均5.7mm遠心移動させ、10.6度遠心傾斜させ、0.7mm圧下させた。上顎第一小臼歯は、1.8mm近心移動し、1.5度近心傾斜し、1mm挺出した。下顔面高は平均2.2mm増加したが、ハイ、ニュートラルまたはローアングル患者の間に有意差は認められなかった。彼等は、「下顔面高の増加を最小にし上顎第一大臼歯を最大限に遠心移動するには、アンカレッジに上顎第二乳臼歯があり上顎第二大臼歯が未萌出の患者にこの装置は最も効果があり、この調査群では、著しいバイトオープニングはどの患者にも起こらなかった」と結論付けた(45)。

2003年に、Burkhardt等は、PendulumとHerbt applianceの治療効果を比較した(2)。Pendulum群では下顎は僅かに下後方に回転し下顎角が1.2度大きくなり、一方、Herbst群では下顎角が0.35度減少した。Pendulum applianceで治療された患者では、上顎切歯は2.8度フレアーし、上顎大臼歯は5.9mm遠心移動し10度遠心傾斜し1.7mm挺出した。Herbst患者群とPendulum患者群の間で、下顎成長に統計学的な有意差は認められなかった。

Conclusion

上顎大臼歯の遠心移動のための固定式顎内装置が多く発表されてきた。これらの装置に関する文献は広範囲にわたり、報告データが相反することもしばしばである。真の分析的視点から、科学的データに基づいた系統だったレビューは研究者が臨床的に適用可能な結論に到達するのに役立つだろう。

以上、私が全訳しました。